参入障壁が低く、初期投資もあまりかからないことから、ホームページ(Web)制作会社は世に溢れています。
今回は制作会社を経験したWebデザイナーが、格安でホームページを制作している制作会社のカラクリや見極めるポイント、価格を抑えてホームページをつくるには、そしてそのような会社で働く実態をお伝えします。
なぜ「格安ホームページ」に騙されてしまうのか?制作する目的をもつことが大切
料金が安いことは悪いことではありませんが、安いものには必ず理由があります。格安制作会社に騙されないためにも、ホームページ制作の目的について改めて考えてみましょう。
ホームページを作りたいと考えている人には、達成したい目的や課題があるはずです。例えば、
- SEO対策をして検索結果で上位表示し、検索流入を増やして売上をあげたい!
- PCやスマホ、タブレットなどさまざまなデバイスに対応したデザインにしてユーザー体験を向上させたい
- ページを訪れたユーザーに不便さを感じさせないサイト構成にしてお問い合わせ数をあげたい!
このような課題を制作会社さんに話して、「弊社(自分)で対応可能です!」と簡単に言われる場合は要注意です。
できるかもしれないですが、SEO対策をして上位表示されるなんて時間と労力がかかりますし、お問い合わせ数をあげるにはサイトの体験だけではなくマーケティング・集客施策まで必要です。
格安サイトを提案している制作会社さんはこの「要件定義」もコストカットし、自社のテンプレート(後述します)で制作するものがいかに良いかというように話をすすめることも多いです。
なんとなく、料金が安いからという理由で制作会社を選んでしまうと後から後悔してしまうことにもなりかねません。
ホームページを作る時は、具体的にどのような課題を解決したいのかという目的意識を持ちましょう。
そしてその課題の多くは、ただ単にホームページを制作しただけで簡単に成果が出るわけではないということを踏まえておくことが重要です。せっかくつくるホームページ、伴走できるパートナーとつくったほうが良いものになるに違いありません。
ホームページ制作の原価は「人件費」が多くを占めている
ホームページ制作に必要なものは、制作目的を定めて進行管理を行うことや素材を用意してデザインをすること、ソースコードを書くことが多くを占めます。そのため、原価はほとんど人件費が占めています。
ホームページ制作に関わる人の中でも、人件費の多くを割り当てられるのは以下の3つの役割が中心です。
- ディレクター(制作目的を定めて進行管理を行う)
- デザイナー(素材を用意してデザインする)
- コーダー(ソースコードを書くこと)
上記の役割をそれぞれコストカットすることにより、ホームページ制作にかかる費用の削減となり、安い料金での提供ができるのです。
しかし、これらの人材を削減した場合、適切なホームページの制作ができるかどうかについては疑問が残ります。それぞれの役割を削ることで生じるデメリットについて見てみましょう。
ディレクターの工数を削る場合
Webディレクターは、ホームページの課題と目的を把握し、サイトの設計や進行管理を行う重要な役割を担っています。プロジェクトの企画、制作の進捗管理や打ち合わせ、ヒアリングを行うのもWebディレクターの仕事です。
ディレクションの工数を削ると下記のようなことが起こる可能性が増加します。
- 課題解決のための指標をつくれず、自分好みのホームページになってしまう
- 各工程がどの程度進んでいるかが分からなくなる
- プロジェクトそのものが円滑に進まなくなる
- 自分でデザイナーさんやコーダーさん、サーバーやドメインを準備しないといけない
その結果、サイトの設計があいまいになったり、納期にずれが生じる恐れも。ディレクターの工数を削る、何かと兼任させている場合は課題解決のためのホームページが制作できない可能性があるので注意が必要です。
デザイナーの工数を削る
Webデザイナーは、ホームページのデザインを担う役割です。ホームページ全体の構成やレイアウトを考え、クライアントの課題解決を意識したデザインを制作します。
格安制作会社でよく見られるのが「決まったテンプレートの中から選んでください」「デザインの修正は受け付けません」といった文言です。しかもこの場合、一度決めたデザインの変更は受け付けていないことが多く、泣き寝入りしてしまうケースも散見されます。デザインはホームページを訪れたユーザーの印象を決める大切な部分なので、どのように制作されるか注意をはらいましょう。
コーダーの工数を削る
コーダーは、デザイナーが制作したデザインを実際にブラウザで閲覧できるようにする役割を担っています。
コーダーの工数を削った場合、デザイナーと同じくテンプレートを利用することになるため、レイアウトの変更ができないなどの不都合が生じることもあるでしょう。
デザイン通り表示できていれば良いとして、コードの中身は適当に済ましているという会社も存在します。無駄なコードが多いとサイトの表示速度にも影響を及ぼし、検索結果の表示にもマイナスとなってしまいます。
また、高いコーディング費を支払ったのにも関わらず、すべて画像で書き出してそのままブラウザに出力する…という事例も目にします。(この方法は適切な場で使用するのであればいいのですが、高いコーディング費用を払ってする場合はデメリットとなります)
このように、工数を削るとさまざまなデメリットが生じてしまうため、注意が必要です。
あなたがせっかく作ろうとしているホームページ、「なんとなく」でいいんですか?
ホームページを作りたいと考えている多くの方が、何らかの成果を出したいと考えているはずです。
テンプレートを使い、なんとなくつくったホームページでは、他社とデザインが被ってしまうことや、長期的な運用を考えた時のサポート体制にも不安が残ります。
せっかく作ったとしても、何の成果にも繋がらないホームページになってしまう可能性があります。
初期費用0円!管理費○○万円で最低契約○年なんてことも
初期費用0円と聞くと、あまりの安さに飛びついてしまう方も多いのではないでしょうか。
多くの場合、初期費用が0円でも管理費として月々に数万円の料金が発生します。
加えて、最低契約期間を決めて契約しているケースが大半です。
最低契約期間が3年以上の場合もあり、総額にするとかなりの金額になってしまいます。
また、契約期間が終わり、他社に移行するという話をすると、契約や著作権などあの手この手で移らせないように言ってきたり、契約解消を行うとホームページが消えてしまうといったことも起こります。
このような制作会社の多くは、クライアントさんの利益(課題解決)よりも、自社の利益しか追っていないません。
そのような会社に頼んでいいの?
ホームページは「制作したら終わり」ではありません。むしろやっとスタート地点です。
「費用はかかっても何をするかをきちんと聞いてくれる」
「本当の課題を一緒に考え、作った後のこともきちんと考えてくれる」
そのような制作会社に制作をお願いしたくはありませんか?制作会社を選ぶ際は、料金の安さだけでなく長期的に運用することを視野に入れて検討しましょう。
応募したい!と思っている会社の業務内容をよく見てみよう
さて、ここではホームページ制作会社に就職しようと考えている人へのメッセージです。
就職しようとしている、応募したい企業について十分にリサーチすることが大切です。
格安制作会社に就職してしまった場合、思い描くキャリアとはかけ離れたものになる恐れがあります。
いろんなデザインに挑戦したいと思っていたのに、テンプレートの修正ばかり
いろいろなコーディングを試したいのに、やるのはデザインやテキストの流し込みばかり
上記のようなことにならないよう、業務内容や、実績・実務のステップアップができる企業かどうかなど、先を見据えて検討することが大切です。
まとめ
ホームページの制作を請け負う会社は数多くありますが、信頼できる会社を見つけるためには自分自身が知らなければならないことも多くあります。
ホームページ制作会社を選ぶ際には、料金だけでなく広い視点を持って検討することで納得のいく会社を選ぶことができるでしょう。
料金の安さにつられず、課題解決視点をもったホームページをつくれる制作会社(パートナー)を選んでください。